チョコレートダイアリィ
クリスマスも近く、記憶喪失になってしまった矢作弌。
彼女は自分の日記を読み返し、
その中によく登場してくる少年、千手遥加に
自分がどんな人間だったかおずおずと尋ねる。
元の矢作弌とは、けっして仲が良いとはいえなかった千手遥加は
おもしろ半分に彼女に対して大嘘をつく。
とげ
綺麗な髪と顔立ちの、盲目の少女ゆずり。
通学電車の中で見かける彼女。
自分が中学生の頃から好きだった水越蓮が、
ゆずりを影ながら見守っているのを鷲見苑子は知りながら
蓮を思うことをあきらめきれない。
彼女は学園祭の前、蓮の家が昔火事で焼けてしまった事を知り、
こっそり彼の写真を取ってアルバムを作ろうと思い立つ。
クロルカルキ
プールを消毒するための塩素クロルカルキ。
久しぶりにその錠剤を見て、リョウジは
六年前のプールの匂い、そこに響くクラスの嬌声、
そして兄とその友達、川崎との出会いを思い出す。
台風ポピー
嵐を招き入れる。
九月のある日、佐分の家に同じクラスの芥子川が尋ねてくる。
佐分は芥子川と今まで親しく話した事も無かったが、
彼は何故か佐分のことをよく知っていて、
勝気な彼女は彼のそんな態度に苛々させられる。
そして、翌日から彼女は、自分が四六時中
芥子川に見られていることに気付く。