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鍵 -かぎ-

鍵 -かぎ-


亀田と服部が入学する中学校には、
生徒会が運営する新入生歓迎会があった。
期待してその日を迎えた二人だったが、
服部は具合が悪くなり、退席してしまう。
だが、亀田も歓迎会を外し、彼を介抱してくれた。
友達の優しさに触れる。
人を好きになる。
同姓の友達だが、ずっと一緒にいたいと思ってしまった
服部は後ろめたい気持ちを隠しながら亀田と過ごしていく。


アルカロイド

長く伸びたジャガイモの芽には毒がある。
アルカロイド。
自然界にある物質だが、時にそれは
とても危険なものになる。

七実は自分が毒を持っているような気分なのだ。
成長するにつれ、
可愛げのなくなっていく自分。
でも友人の順は、そんな自分にも優しくしてくれる。
彼のために料理だって練習する七実。
けれど、幼かった頃のようではいられない。
私は汚れずにいられると思ってたけれど。


呼吸

保健室で聞いたクラスメイトの話。
顔のないおじさんが歌い跳ねる。

何処で?

それはいじめられっ子ホマのお腹の上で。

呼吸の仕方に怯えるホマ。
学校は苦手な場所だ。
私を優しく包んでくれるものは、他にもある。
だけど、時々怖くなる。
私が世界に残ることが、厭になる。

二人の少女が語る、或る一つのエピソード。


夜 夜中

夏の訪れ。日を受けて鮮やかに咲く朝顔。
そして隣の家から響く怒号と罵り。
闇の中を静かにやって来る、あの女性。
不安が少女の中で少しづつ膨らんでいく。
夜が来て、あの人が来れば。
私の世界が変わってしまうかも。
夏の闇は色濃く、深い。


犬と夏服

少女は隙をついて少年の服を盗んだ。
こっそりと鞄の中に入れ、自分の家へ持ち帰る。
何故こんなことをしているのだろう?

いつまでも服が見つからず焦る少年。
「何故こんなことをするのだろう?」
嫌がらせだったらどうしよう。

「大丈夫、もしも盗まれたのなら…」
少女は自分の気持ちを偽る。
冷たくさらさらとした顔で、嘘をつくのだ。

本当に、何故こんなことをしてしまうのだろう。



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